KBS京都ラジオ

15分だけですがスタジオには1時間前に入ってスタンバイ。
放送作家の町田さんがいろいろと質問して予習させてくださいました。
完全防音の分厚いドアの向こうでは生放送が進行中です。
なお、都丸さんは現在の塩鯛師匠です。この当時はまだ都丸さんだったのでそのまま記します。


これに先立つこと2か月。
本田ご夫妻の主催された567堂での都丸さんの落語会後の懇親会があり、そこで自己紹介を兼ねていろいろ話していたのを町田さんが聞いておられたのです。
経歴の落差もあり、面白いと思われたのでしょう。
なぜ大学教員から指圧師になったのか。
その福増博士という人はどういう人だったのか。
その人のやっていたことの特徴は何か。
指圧とはどう違うのか。
などなど聞かれたと記憶しています。


放送が中断されCMが続くタイミングで放送室入り。
都丸さんと差し向かいで座り、右横に女子アナさんが座っておられます。
分厚いガラスで仕切られた隣の部屋に町田さんとスタッフさんがこちらを見ています。
町田さんの隣の方が大変に怖い目をして凝視されています。
落語界のあとの懇親会で、誰が何を聞いても言いよどむことなく回答している私を町田さんは知っていますが、その方は知りません。
こいつ、大丈夫なのか。
そう思っているのがひしひしと伝わります。
何しろ生放送です。
取り返しがつきません。


たった15分間の放送ですが、途中に休憩が入りました。
放送中の都丸さんは声の雰囲気とお顔の雰囲気が全く違います。
さすがはプロです。
わたしの右隣に座っていらっしゃる女子アナさんも、まー声がいいし活舌がいいし。
本物は違いますね。


途中で実演してくださいということで、ラジオだけど実演しました。

「いま女子アナさんの真後ろに立ち、後頭部から盆のくぼあたりを右手親指で押さえています。同時に左手で額を押さえて、女子アナさんが首に力を入れなくてもいいようにしています。本来は身体が起きた姿勢でやることはありません」
というと、都丸さんが、
「それはなんでですか?」
と聞いてくださる。
全く打ち合わせはありません。
だが、「不思議なことを言うなぁ」と感じてほしいと思いながらこちらは話している。
それをすっとすくってくださる。


おかげで、
「頭を起こしておくために首や頭部の筋肉が使われており、使われているままで緩むことはないからです」
という説明ができました。
プロは違うなとおもわず心の中でうなった。


あっという間に15分が過ぎ分厚いドアの外に出てさきほど打ち合わせをしていた席に座ったとたんに「ふぅ」とため息が出た。
人生初の生出演おわり。